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東京五輪のエンブレムが遂に決定!
2016年4月25日の最終審査によって、東京オリンピック・パラリンピックの新エンブレムが発表されました。
写真引用:https://tokyo2020.jp/jp/games/emblem/
私もWEBやグラフィックのデザイナーをしているため、何が選ばれるのか楽しみにしていました。ちなみに私は、多摩美術大学のグラフィックデザイン科を出ているので、佐野研二郎氏の後輩に当たります(笑)
さて、五輪エンブレムですが、決定案はA案の「組市松紋(くみいちまつもん)」となりました。以下が、そのコンセプトです。
【組市松紋(くみいちまつもん)】
本の伝統色である藍色で、粋な日本らしさを描いた。歴史的に世界中で愛され、日本では江戸時代に「市松模様(いちまつもよう)」として広まったチェッカーデザインを、日本の伝統色である藍色で、粋な日本らしさを描いた。
形の異なる3種類の四角形を組み合わせ、国や文化・思想などの違いを示す。違いはあってもそれらを超えてつながり合うデザインに、「多様性と調和」のメッセージを込め、オリンピック・パラリンピックが多様性を認め合い、つながる世界を目指す場であることを表した。
個人的には4つの中であれば「B案かなぁ…」と予想していましたが、見事にはずれましたね(笑)
世間の評判
世間の評判ですが、ネットの記事やツイッターを見ている限りでは、あまり評判が良いとは言えなそうです。
「日本らしくて良い」「シンプルで好き」という意見もありますが、「地味だ」「ダサい」「葬式みたい」など、ネガティブな意見の方が目立ちますね。
前評判からそれほど高くはなかったようですが、実際は委員会21票中13票で圧勝したことやその他の候補案のデキや質から、五輪エンブレム審査委員と佐野研二郎氏との癒着を暴露した平野敬子さんは、今回も出来レースだったのではないかという疑惑を指摘しています。
デザイナー視点での考察
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見た目の感想を言いますと、3種類の四角形を緻密に計算された配置で積み上げた、美しく素晴らしいエンブレムだと思います。
日本の伝統色である紺やコンセプトでも説明している「多様性と調和」にもしっかりマッチしていると思いました。
また、大きな24角形と小さな12角形をベースの枠組みとして、12角形の頂点を結んで作った長方形を組み合わせて作られているようだ。オリンピックとパラリンピックの長方形の数は同じで、角度変えずに位置を動かすだけで双方のエンブレムを表現できるようになっている、かなりテクニカルなデザインと言えます。
[参考]五輪エンブレムの”ここ”がすごい 幾何学的に分析、ネットで称賛の声
東京造形大学建築家出身の建築家である野老朝雄(ところあさお)氏がデザイナーということで、「なるほど建築家的な巧みなデザインだ」と妙に納得しました。
では、なぜあまり受け入れられていないのか?
それは、オリンピックが「スポーツの祭典」であるという前提があるからです。
例えば、このデザインが藍染め商品や、上品な和菓子のパッケージロゴであれば、「モダンで素敵なデザイン」と思えると思います。
ですが、このエンブレムから「スポーツ感」「祭典感」を感じられないところに違和感を持つ人が多いのだと思われます。
「スポーツや競技」の熱さや躍動感もなければ、「祭典」の楽しさや華やかさもないわけです。作者の野老氏本人も、逆ベクトルの「清涼感を表現した」とまで言ってしまっています。強いて言うならば、近代建築におけるスタジアムの屋根やパラリンピックの方は聖火台のようにも見えなくはないですが、それだけではちょっと弱いですね。
そういった世間のオリンピックのイメージとのギャップが違和感を生んでいるのだと考察できます。
同じ意見を持つ方も多いとは思いますが、本採用には使えないルールである「仮エンブレム」が日本らしさも華やかもあり、一番よかったのではないかと思えてしまいます。
仮の案の完成度が高過ぎるというのも考えものですね(笑)
とにもかくにも決まってしまったので、また再選考などやり出しては不信感が膨らむばかりですので、ここで着地ということになりそうですかね。
世界的にも信頼を失いかけてると思うので、2020年までにしっかり準備し、最高のオリンピック・パラリンピックを開催していただきたいと願っています。
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